中級
multihoming(マルチホーミング)
単一のネットワークが、複数の異なるインターネットサービスプロバイダ(ISP)に同時に接続している状態のこと。冗長性の確保や負荷分散を目的とする。
#ネットワーキング#アーキテクチャ#レジリエンス#可用性
公開: 2025年9月15日更新: 2025年9月15日
マルチホーミング...要は、インターネットへの出口を複数持つことだ。通常、組織のネットワークは一つのISP(プロバイダ)に接続するが、それを二つ以上の異なるISPに同時に接続する。それだけの話だ。
なぜマルチホーミングを行うのか
理由は主に二つ。『冗長性の確保』と『負荷分散』だ。
- 冗長性の確保 もし契約しているISPの一つで大規模な通信障害が発生しても、もう一方のISPへの経路が生きている限り、インターネット接続は維持される。出口を一本に絞るシングルホーム構成に比べて、障害に遥かに強い。事業を止めないための保険だな。
- 負荷分散 複数の回線を同時に利用して、通信を効率的に捌く。例えば、ISP Aは海外向け通信に強く、ISP Bは国内向けが速い、といった特性があれば、宛先に応じて最適な経路を選択させる(トラフィックエンジニアリング)。あるいは、単純に通信量を分散させて、一本の回線がパンクするのを防ぐ。
実現方法
これを実現するためには、BGP(Border Gateway Protocol)というルーティングプロトコルを使い、自組織のネットワークがどの経路情報(IPアドレス)を持っているかを外部のインターネットに広告する必要がある。どのISPを経由すれば自組織に辿り着けるかを、世界中のルータに教え込むわけだ。設定は当然、複雑になる。
結論
マルチホーミングは、単に回線を増やすことではない。インターネット接続における可用性とパフォーマンスを向上させるための戦略的なネットワーク設計だ。当然、コストも管理の手間も増えるが、接続が途切れることが許されない重要なシステムにとっては、必須の構成と言える。