初級

format (フォーマット)

フォーマットは、文脈によって二つの意味を持つIT用語です。一つは、ハードディスクなどの記憶媒体を特定のOSで利用可能な状態にする「初期化」の操作を指します。もう一つは、ファイルがどのような構造でデータを持っているかを示す「ファイル形式」や「データ形式」を指します。

#データ構造
公開: 2025年8月29日更新: 2025年9月6日

フォーマットという言葉は、二つの全く異なる意味で使われる。文脈を読めずに混同するのは三流の証だ。一つは「記憶媒体の初期化」、もう一つは「データの構造定義」。どちらを指しているか、瞬時に判断できなければならない。

意味1:記憶媒体の初期化

こちらが動詞としての「フォーマット」だ。物理フォーマットと論理フォーマットがあるが、一般的に使われるのは後者だ。

  • 行為:ハードディスクやSSD、USBメモリといった記憶媒体を、OSがファイルを読み書きできる状態に整えること。
  • 具体的な処理:
    1. ファイルシステム(FAT32, NTFS, exFAT, APFSなど)を構築する。これは、データを管理するための台帳や区画整理のようなものだ。
    2. 媒体上の既存のデータを全て消去する。
  • 目的:「まっさらな状態」で使い始められるように準備すること。OSのクリーンインストール前や、中古の記憶媒体を再利用する際に行う。

「フォーマットしますか?」と聞かれたら、それは「中身を全て消して初期化しますよ」という最終通告だ。安易に「はい」を押すな。

意味2:データの構造・形式

こちらが名詞としての「フォーマット」だ。ファイルフォーマットとも言う。

  • 意味:あるファイルが、どのような構造でデータを格納しているかという「仕様」や「形式」。
  • 例:
    • 画像ファイル:JPEG, PNG, GIF
    • 音声ファイル:MP3, AAC, WAV
    • 文書ファイル:PDF, DOCX, TXT
  • 目的:同じフォーマットに対応したアプリケーションであれば、誰が作成したファイルでも正しく表示・再生できる。この共通のルールがあるからこそ、データの互換性が保たれる。

セキュリティの観点では、特定のファイルフォーマットの脆弱性を突く攻撃も存在する。例えば、細工されたPDFファイルを開かせることで、マルウェアに感染させようとする手口だ。単なるデータの形式と侮らず、その構造に脆弱性が潜む可能性を常に意識しろ。